ドラマチック

日曜はちょっと体調を崩したこともあり、家でおとなしくテレビばっか見てました。まあつまりはいつもと同じ過ごし方ということなんですけども。


なかでもスポーツ中継が面白かったです。大阪国際女子マラソンに大相撲初場所の千秋楽。どちらも「劇的」という言葉が似合うシーンが登場しました。

大阪国際女子マラソン

トラックでは国内敵無しの福士加代子がマラソン初参戦ということで注目が集まった。レース序盤から果敢に飛ばし独走だったものの、30キロを過ぎたあたりから急速にペースダウン。結局後続に次々と抜かされてしまい、40キロを過ぎたあたりかたは走っているのもやっとというフラフラの映像が流れる。


ゴールの競技場に入る前や、競技場に入ってからも足元が覚束なく何度も転倒するシーンのたびに実況のアナウンサーが吠える。そしてゴール直前でもまた倒れ、監督が触れてしまうのではないかとも思わせた(選手に触れると棄権になる)ものの、気力を振り絞ってゴール。テレビの中継も福士のゴールを待つかのように終了。結果としては19位だったものの、テレビ中継としてはこれ以上ない劇的なシーンだったように思う。


特にゴール前で倒れる映像の壮絶さと、それに伴う視聴者の心情は「ひとつ屋根の下」の最終回を想起させるような盛り上がり方であったと思われ(と、自分で書いてみたが柏木一家がこぞって江口洋介に付き添う以外は何も覚えてはいないんだけど)、現実がドラマを越えてしまった瞬間だったと言っても過言じゃないだろう。


事実だけ捉えれば、明らかにマラソンの対策不足の福士が序盤からぶっ飛ばした結果完全にバテただけというさほど同情するでもない結果なのだけども、福士という選手の人気と、映像の持つ壮絶さがそこらへんの事情を忘れさせてくれる。

大相撲初場所千秋楽

東西の横綱が揃い踏み、さらには千秋楽の直接対決で優勝が決まるというこれ以上ないお膳立てが整った舞台で激突する白鵬朝青龍。2場所ぶりに土俵に戻ってきた朝青龍がその強さを見せ付けるのか、それとも東の横綱を張る白鵬が意地を見せ付けるのか、というこれまた日本人好みの対決。特に朝青龍は完全にヒールと化しているわけで、おそらく見ている人の多くは白鵬を応援していたのではないだろうか。


勝負は力と力がぶつかり合った好勝負。最後は白鵬朝青龍を豪快に上手投げで土俵に沈めた。盛り上がる観客、舞う座布団。別に番狂わせではないのだから無闇に座布団は投げてはいけないと思うんだが、それだけ会場も興奮したということなのだろう。


どんな決まり手であっても勝ちは勝ちなのだけども、決まり手が上手投げというのがこれまた劇的。白鵬朝青龍を土俵の上で投げ飛ばすという映像が「朝青龍敗れる」という事実をより印象的にするわけで、これが単なる寄り切りだったり、立会いでの変化による叩き込みだったりしたら映像としてのインパクトは薄い。やはり劇的な勝利には「これぞ相撲!」という上手投げのような決まり手が相応しい。


取組そのものも素晴らしかったが、この取組にかけられた懸賞の本数が50本近くあり、「この勝負に勝ったほうが150万近い金を手にするのか…(懸賞は1本6万円であり、勝った力士の手取りは半額の3万円)」と思ったらなんだかちょっと寂しい気分になりました。

大阪府知事

こちらは「劇的」と表現するには足りないほどあっけなく当確が早く出て橋下弁護士が勝利。なにせ大阪ローカルの話題であって北海道では殆ど選挙戦の様子が流れることはなかったが、楽勝とまでは行かないものの終始橋下弁護士が優位に選挙戦を進めていたようで、あくまで「予想通り」な当選となった。


でもって当選直後に「プレミアA」に出演していた。「公約なき選挙」と手厳しい批判をした小泉純一郎の元秘書官である飯島の発言を真っ向から否定した橋下が印象的。あと選挙戦のVTRに登場した橋下の奥さんが7人も子供産んでるとは思えないくらい綺麗でびっくりした。

古田

それよりもびっくりしたのが古田元ヤクルト監督。フジの北京五輪のキャスターに早くも決定し、昼に放送された大阪国際女子マラソンのゲストとしても登場していたのだが、どちらの番組でもとてもちょっと前までプロ野球の監督だったとは思えないような達者なコメントを残していた。元々コメントが上手な人ではあったが、マラソンにしても選挙にしても、あそこまで巧くまとまったコメントをそうそう出来るものかなと感心しきり。今後続々と各局が北京五輪のキャスターを決めていくことだろうが、そんなものを待つまでもなくキャスターにおいてはフジが一人勝ちしそうな雰囲気すら漂っている。


おそらく今後も五輪までに幾度となく古田がコメントする機会が練習のために与えられるだろうが、もはやそんなコメントの練習など必要ないくらいに達者だ。おそらくコメントの元となる原稿のようなものは用意されているのだろうが、それにしてもあの巧さはドラマの脚本を読む役者のごとき、である。マラソンも相撲もドラマチックではあったが、個人的には古田のコメントが一番「ドラマのセリフっぽい」という意味でドラマチックでした。