記録更新

金曜日に放送された「千と千尋の神隠し」の視聴率が46.9%を記録し、歴代テレビ放送映画視聴率の記録を更新したのだという。今までの一位は「キタキツネ物語」だそうだが、自分はこの映画を見たことがない。それはともかく、日テレが目論んでいたと思われる視聴率40%をはるかに上回るこの数字は、いかにこの映画が日本人に支持されているかがよくわかる。

それはそうと別に問題ない。先日ここでこの話題を取り上げた時に何が一番注目だったかといえば、「テレビ放送の画面も赤みを帯びているのか」という点である。結論として、どうやら見事に赤かったようだ。

千と千尋の神隠しのDVDが発売されたときに、DVDを購入した人から「画面が赤みを帯びている」という苦情が大量に寄せられた。しかし販売側は「これは仕様です」と突っぱねた。確かに仕様だったらしいが、あまりに赤い画面で釈然としない購入者がたくさんいる中で頑なに「仕様だ」と突っぱねたのは正直気分のいい話ではなかった。

そんな騒動のことなどお構いなく、結局DVDの映像をそのまま流したにすぎないのだろうか。まあ、それでもこれだけ数字が取れるなら何の問題もないのだろう。抗議の電話もいくつか入ったらしいが、たいした問題にならなかったのが残念なところである。まあ騒いだところでどうにかなる話ではないけども。

さて、「千と千尋の神隠し」が46.9%という驚異的な数字を叩き出した影に、その影響をモロに受けてしまった番組がある。今回取り上げたいのは「千と千尋のアオリを受けた裏番組の視聴率」である。つまりは「高校教師」の視聴率について語るときが来たということだ。

今まで「高校教師」を取り上げる機会もあったのだが、ここまで語らなかったのは単に興味がなかったからでこの機会を待っていたからだ。さて、そんな高校教師の視聴率であるが、初回から14.9%、12.2%と放送前の話題の大きさにしては低調な数字をたたき出していた。だがしかし、今回裏番組の影響を受けてなかなか記録的な数字を出しました。

6.4%

前回の視聴率の約半分となった。つまりは先週の半分の視聴者を宮崎アニメに持っていかれたわけである。同局水曜の加藤晴彦主演のドラマ「刑事イチロー」並に低い数字だ。いくら裏番組の「千と千尋」が強いとはいえ、毎週見なければ分からなくなる連続ドラマにとってこの下がり方は致命傷だ。そりゃ国民の半分くらいが見ている映画を相手にするのは酷なのかもしれない。けども、野島脚本で10年の時を経て復活させた作品とは思えないほど低調である。

何が原因だろうか?キャスト?脚本?時間帯?演技力?一概に判断するのは難しいけども、おそらくはどれも欠けているんじゃないか。

前作があれだけ盛り上がったのは、まだ教師と生徒の恋愛はまだまだタブー視されていたという時代背景もある。内容も「当時にとっては」衝撃的だった(その後野島自身が同じような手を使い尽くすのであるが)。しかし今のご時世生徒と教師が付き合ったところで大事件にもならないし、京本が行ったレイプよりももっと陰惨だったり変態だったりする教師が現実にゴロゴロする世の中では、あの程度の脚本では誰も驚かない。まさに現実がドラマを追い越してしまったのだ。

ただ、それでも脚本に魅力があればそれも挽回可能だったのかもしれんが、前作のイメージがあり(もちろんイメージを戦略として使用したほうに責任があるが)、「純愛」というテーマではこのキャスティングにおいて数字を取るのは難しいと思われる。

キャストにしても、真田広之と比べた藤木直人の演技力の拙さ、桜井幸子に比べた上戸彩の清純さは適わない。藤木はともかく、上戸はそれほど悪くないんだけど、それでも10年前の桜井幸子に比べると霞んで見えてしまう。あの時の桜井が奇跡的だったと評してもいい。そんな奇跡的なキャスティングに今回のキャストは適うわけがない。

GOOD LUCK!!」の視聴率も第2話は27.5%とまあ落ち着いてきた。他のドラマも軒並み低調で初回から数字を下げているドラマが殆どである。面白いドラマは中盤以降で盛り返すということがよくあるのだが、今回の「高校教師」では今後盛り返すのは難しいであろう。つうわけで、今後の「高校教師」の視聴率は10%前後をさまよい、平均視聴率ですら10%を超えるかどうかわからない状態で失敗作のまま「続編もあったけど、ちょっとね…」という状態になって今後語られつづけるのであろう。

結論。安易な続編を作る前にちょっと考え直せ。

別に「バトル・ロワイヤル2」のことを指してるわけではない。