淡々と語る深刻

おもいッきりイイ!!テレビ」の最終回で出演者(特に加藤晴彦)が大袈裟に泣いていたらしい。ここを長いこと読んでくださっている方ならば自分が加藤晴彦のことを嫌っているのを知っているとは思うんで「また加藤の悪口か」と思われている気がするんですけど、別に積極的に加藤をバカにしたいわけじゃなくて、たまたま「アホか」と思うことを加藤が積極的に実行するんだから仕方ない。


ま、みのもんたからすれば「午後は○○」時代から丸20年やってきた平日昼の帯を降板するわけだから、思わず感極まるのも分かる。けど「おもいっきり」の出演者からしてみれば別に芸能界引退、ましてや死ぬわけじゃなし、来週から普通に「朝ズバッ!」に出てるわけだし、そんな悲しいことではなかろうと思う。むしろ「朝ズバッ!」で朝早いもんだから昼にうつらうつらしている姿がテレビからも度々目撃されているわけで「お疲れ様」という労いいっぱいで送り出すほうが適切な気がする。みの本人はあっさりと4月中に裏番組の「いいとも」のテレフォンに早々呼ばれるような気もする。


少し話が逸れるのだけども、「いいとも」はこの春レギュラー交代が一切ない(アナウンサーだけは宮瀬と田淵が交代)。「おもいっきり」をはじめとして裏番組が大きく動くので静観したのだろうか。自分の記憶では春秋でレギュラーが交代しなかった記憶がないのだけども、過去に遡ればあるのだろうか。誰か知ってる人がいれば教えてほしい。単に調べるのが面倒とも言う。


そんな大仰な最終回が行われていた「おもいっきりイイ!!テレビ」であるが、自分は裏番組の「徹子の部屋」を録画していた。出演は六角精児。28日から封切りになる映画「鑑識・米沢守の事件簿」の宣伝の出演だ。昨年邦画ナンバーワンの興行収入だった「相棒」のスピンオフ作品であるけども、この映画が当たるとはちっとも思えないんだがどうなんだろう。テレ朝がどこまで本気なのか自分にはちょっと分からない。


徹子の部屋」でも最初は六角が「米沢守」として出演。鑑識の衣装に身を包み、あくまで「米沢守」として出演していた。以前にゴリが「ゴリエ」として、藤井隆が「マシュー南」として出演したのと同じ扱いと考えればいい。ただ、米沢守ゴリエやマシューのようにキャラクターがそのまま立っているわけではないので、徹子は鑑識としての話を米沢に振るわけだが、六角も鑑識を演じているだけでそこまで詳しいわけではなく、ちょっと専門的な話になるとどうしていいか分からなくなるゆえ(もちろん専門用語やある程度の知識はあるけど)、見ていて「こりゃ失敗か」と少し思った。


それでも映画の宣伝で六角が米沢本人役で出演し、ギターの弾き語りまで披露すればサービスとしては充分。ドラマの役でそのまま「徹子の部屋」に出演する六角からしても、あくまで米沢守を演じればいいだけなのでどこか肩の力が抜けてリラックスした雰囲気すらあった。


しかし米沢守から六角精児へと衣装チェンジ(というか普通の衣装になっただけだが)したところから事態は急転。映画では別れた妻が殺されたところから話が始まるらしいが、その流れに乗じて六角の私生活で三度の結婚と離婚を経験しているという話に。ここから急に空気が重くなった。


六角からすればとりあえずは「済んだこと」であるようで、淡々と過去の経験を語る。まあ徹子に感情的になっても仕方のないことなので当然といえば当然だけど、この淡々っぷりが徐々に深刻さを増していく。


3回目の結婚相手との間には5歳の息子がいるという話になる。奥さんが実家に帰ったときにはまだ生まれたばかりだったので、息子は父親の存在を知らなかったという。息子は可愛いし時々会っているけども、奥さんとの復縁に関しては「強く離婚を迫られたもので……」と、これまた淡々と「復縁はおそらくない」ということを語る。過去の離婚に関する淡々と、3回目の子供がいる奥さんとの離婚に関する淡々は、同じ淡々ではあってもどこか陰の具合が違うなあという感じ。


徹子も徹子でそこらへんの事情を察して適当に次の話題に行けばいいものを、結構掘り下げるもんだから、結局六角が六角として話したことはほぼ3度の結婚と離婚の話だけである。しかも最後には「息子にいいところを見せたいので、二人で映画に行く」という発言が飛び出し、なんだか非常に切ない終わり方だった。本来こんな空気は「徹子の部屋」じゃなくて、裏の「午後は○○」時代の「おもいっきりテレビ」における「おもいっきり生電話」のものだろう。


みの及び出演者による仰々しい「番組が終わる深刻」よりも、裏の「徹子の部屋」で3度の結婚と離婚及び息子の話を淡々とする六角精児のほうがよっぽど深刻だ。とりあえず加藤晴彦は六角精児に謝っておけ。