本物

「ネプリーグ」がSPだったわけですが、相変わらず面白いです。この時期に「Qさま!」が総集編を打ったのは先週3時間SPだったこともあるんでしょうけど、ネプリーグの2時間SPを避けたというような印象を与える。それほど「ネプリーグ」は安定して数字も持っているし面白い。


メイちゃんの執事」チームが優勝。昨今のイケメンブームの中心にいる非ジャニーズのイケメンは高学歴が結構多く、今回も慶應卒の水嶋ヒロ、明大卒の向井理、東京外語大卒の鈴木亮平らを連ねていれば優勝もさほど不思議じゃない。


今回の出演者の中で抜群に面白かったのが七尾藍佳。インテリチームの一員として登場。今回が初出演ではなく、ちょっと前にも一度インテリチームとして出演したことがあったのだけども、その時も強烈な印象を残していて「あ、またこいつ出てこないかな」と思っていたらすぐ出てきた。どうやらスタッフも「こいつ面白い」と思ってたんだろう。


七尾藍佳は現在「NEWS ZERO」のリポーターを務めている女性。らしい。「らしい」というのは普段「NEWS ZERO」を見ない自分は一度もこの人を番組で見た記憶がないため。いや一回くらいは見ているかもしれないけど、注目もしていなかったので記憶に残っていない。


でまあこの人の何が面白いかといえば、これがもう笑っちゃうくらいに性格が悪いんです。


wikipediaの記述によれば、外交官の父親を持ち世界各国を転々としていたらしく、英語はもちろん数ヶ国語を話せるようだ。んでもって東大卒。これで官僚にでもなってれば良かったんだけど、なぜかフリーキャスターやってる人。そこまで美人でもないけども、東大卒の才女という意味ではハッタリは充分ですから、リポーターにも打ってつけというとこなんだろう。


まだまだ日本の社会が男性社会であった頃、その中に割って登場する「キャリアウーマン」とは男性顔負けの勝気でイヤミで性格がキツい、というステレオタイプなイメージがあったように思う。そんな「キャリアウーマン」のイメージを地で行くかのような、いやイメージをさらにデフォルメしたような人が七尾藍佳だと思ってもらえればよい。


番組の中で、とにかくチームの和を乱す。他人が間違ったときは「何でこんな問題も分からないのか」と嫌味を言い、そして自分が間違ったときには言い訳を並べ絶対に謝らない。問題が出来たことには鼻持ちならない態度を取り、相手チームはたいてい見下している、などなど一挙手一投足から性格の悪さが滲み出ている。実生活でもなかなかお目にかかることの出来ない極上級である。そりゃ同じチームのふかわりょうも面と向かって「嫌い」って言いたくもなるわ。無論本当に嫌いなら言わないでしょうけど。


芸能界にも「性格の悪い人」ってのは数多く存在するでしょう。しかしそれをテレビの前で見せてしまっては商売になりませんから、殆どの芸能人はそれを上手く隠して活動をします。何より性格が悪いところを見せたところで、視聴者は一切笑えません。


にも関わらず七尾藍佳は平気で性格の悪さを前面に押し出してくる。いや、押し出しているわけではなく、普段の振る舞いをしたら自然と性格の悪さが出てしまっているだけだろう。決して性格の悪さを売りにしようとしているわけではないはずだ。本来なら隠されるべき部分のものが出てきているだけ。本当ならば見せるもんじゃないし、見たくもない。けど自分が思うに、いや「ネプリーグ」のスタッフもそう捉えていると思うが、七尾の性格の悪さは「面白に転化しうる性格の悪さ」だ。


前述したように、七尾の性格の悪さはあまりにも分かりやすい。万人が漠然と描く「性格の悪い人」というのを突き詰めてデフォルメしたような感じ。そしてこのデフォルメしたような感じが一歩進めば「本当にこんな分かりやすく性格の悪い奴実際に存在するのかよ」という面白さに繋がっていくんじゃないいかと。マンガの中から出てきたキャラクターの持つ面白さと一緒のような気がする。腹立たしいことは腹立たしいけど、あまりに分かりやすく典型的な「性格が悪い」振る舞いをするので最終的にはなんだか笑ってしまう。これがわざとならばまた腹立たしいんだけど、おそらく素でやっているのがまた面白い。簡単に言えば「キャラじゃない本物の性格の悪さ」がいい。


普通に考えれば「こいつ本当に性格悪いな」と言われて敬遠されるのが関の山だ。でも「ネプリーグ」のスタッフが前回出演からほどなくして再び起用したということは、自分と同じように七尾の性格の悪さに面白の鉱脈を見た人がいるからではないだろうか。とすれば、この鉱脈が結構大きい可能性はある。キャラでもなんでもなく「ただ性格が悪い」のに大人気、あるかもしれない。半年後七尾を各局バラエティでよく見るようになっているかもしれないよ、と言っておく。とりあえず自分は今後も要注目しておく。