オッス、オラGWにヒマを持て余し過ぎている人！誰からも相手にされてないよ！
テレビ好きすぎてバカみたい
「テベ・コンヒーロ」が面白すぎる。
今回の企画が「2011年最もテレビに出た有吉が一度も共演していない芸能人は誰？」という、「クイズ☆タレント名鑑」でもふつうに放送出来たんじゃないかというもの。セットがチャチになった以外は出題者も解答者も、セットに飾ってある芸能人の名前が羅列してあるボードも一緒。情熱感じます。
今年で20年になる芸歴を数え、長らく司会ではなくゲストとして呼ばれる生活が長かった有吉。バラエティにとどまらず歌手活動をしていたことから歌番組を含めたあらゆる番組に顔を出しているので、その共演している人間の数も莫大。もちろん解答するロンブー亮、FUJIWARA、おぎやはぎも正解を狙ってはくるわけだが、なかなか共演したことがない人物をはずさない。
トークの中身も秀逸。ロンブー淳の元彼女である安室奈美恵のくだりはお約束にしろ、有吉の田代まさしエピソードが面白すぎた。テレ朝の番組「特捜TV!ガブリンチョ」にレギュラー出演していた猿岩石時代の有吉。この番組の司会が田代まさしだったのだが、その時に「なんか田代さんが最近ヤバいらしい」という話を有吉にしたのがオセロ中島だったという話。数年前ならふつうのエピソードではあるが、今年に入ってからこの話に裏ドラが３枚くらい乗っかった感じ。秀逸。
そして今回なにより圧巻だったのが、おぎやはぎが指名した「山岸一雄」。まずは「山岸一雄って誰だよ」というところから始まる。自分も名前だけでは誰か判断できなかった。そこで司会の枡田アナから「大勝軒の創業者」という解説が*1。そこでおぎやはぎの二人は「名前だけで判断できないような人がここに入っているということは、これもう共演したことある（から名前が入ってるん）でしょ」という読みのもと、指名。
しかし有吉から発せられた正解は「共演したことない」であった。死ぬほど笑った。すごい。
これの何がすごいのか。まず、この手のクイズが通常放送される場合は「え、この人と共演したことないのか。意外だな」という方向性で視聴者の興味関心を惹くことになる。実際に番組の進行としても、「有吉はこんな人とも共演したことあるんだ」という有吉の芸歴の長さに基づく「感心」がベースになっていたように思う。だからこそおぎやはぎは「こんな人と共演したことあるんだ有吉」という方向性に乗っかっているからこそ、「有名つけ麺店の店主とも共演したことあるんだ。いろんなことやってるんだな有吉」という発想が来て「これもう共演したことあるでしょ」という判断になる。当然の発想だ。
にも関わらずここで「タレント名鑑」、もとい「テベ・コンヒーロ」のスタッフはすかすのである。本来ならここに来るべきはもっと名前が知れていて、かつ有吉といかにも共演したことがありそうな人物を置いてくるはずなのだ。つまり、この手のクイズの答えは逆算で用意すべきものなのだ。だからこそクイズがショウになる。
けどスタッフが用意した答えは「山岸一雄」。そりゃ有吉のキャリアからすればラーメン店の店長と共演していてもおかしくはない。だから「共演してないのか。意外だな」という発想がないわけではない。しかし名前だけ見てそれが誰か分からないような人物は「意外」という感覚には、普通はならない。つまり、この答えが選択肢にあるということは「共演したことがある」という発想につながるのは至極当然なのだ。おぎやはぎの推理は全くもって正しい。逆に言うならば、「山岸一雄」という選択肢は実際に共演したことがないと出てこない発想なのである。にも関わらずこれがNGなのだ。そりゃスタジオも騒然となる。
ここには「テレビを知っている人ならば必ず山岸一雄に食いついてきて、なおかつ選んでくる」という、スタッフによる確信にも近い誘導があるのだ。これが素晴らしい。「テベ・コンヒーロ」というバラエティのみならず、クイズ番組の発想として図抜けている。テレビが好きすぎる人間の発想である。頭おかしいんだと思う。いい意味でも悪い意味でも。
間違ってほしくないのが「山岸一雄というチョイスが絶妙」なのが凄いのであって、「山岸一雄」のチョイスそのものが凄いのではないのだ。凄いのはこの「入れておいたら必ずひっかかるであろう思考回路の構築」である。おそらく山岸一雄よりもっと巧妙に引っかかる人物をチョイスしろと言われたらもっと絶妙な人物が出てくるような気はする*2。しかしその絶妙な人物を選定した人間がこの思考回路を構築できるのかといえばそれはまた別の話だろう。大喜利の面白い答えを作るのと面白いお題を作るのは似て非なる作業だ。
田村淳を含めたこの番組のスタッフは本気でテレビバラエティが好きで「面白い」と信じてやまないのだろう。こんなもん絶賛するしかないですよね。「テベ・コンヒーロ」を見ることが出来る地域の人は絶対に見たほうがいい。ネットにはないプロの作る面白いものがここにある。
