見下さずにはいられない

「そんなコト考えた事なかったクイズ!トリニクって何の肉!?」というクイズ番組がテレ朝でスタートしたんですね。

 

平成生まれが「考えた事なかった」で済ますような、昭和生まれには当たり前のクイズを平成生まれに出題し、みんなで珍解答を嗤おうという性根の悪いクイズ番組です。もうこの説明が全てだと思うのですが、もうちょっと書きます。

 

本当はこんな番組見たくもないのですが、さすがに何も見ずには書けないのでおおよそ早送りで見ました。思ったほど酷い番組ではなかったですが、それでも書かずにはいられません。自分のような性根の腐った人間に「性根の悪いクイズ番組」と呼ばれてしまうのだから、そんなもん推して知るべしだろう。

 

ただ、実際の番組はそこまで平成生まれをバカにした感じではなく(ただしバカにしていることには変わりないとは思ってますし、司会のダウンタウン浜田に大きく救われている部分がある)、その基本的なお題から展開して手垢のつきまくった雑学系の話をするわけですが、根本にあるのは「バカを嗤おう」という感覚。性根が腐っている自分は根本的に「バカは笑われるもの」と思っているし「笑っていい」と思っている。しかしそれを「見世物にする」のは「もっと卑しい」と思う。バカは本来自ら恥じるべきものだけども、だからといってそれを他人が辱めるのはまた別の話だろうよ。

 

そもそもこの番組が一番酷いのは平成生まれを「モノを考えない世代」と勝手に決めつけていること。「そんなこと考えたことなかった」という物事は、平成だろうが昭和だろうが世代に関係のない話。この番組で出題される問題は、昭和では「考えるまでもなく分かる」身近なことだったものが、平成に入って「少し考えたら分かる」ものになっただけであり、平成生まれが「モノを考えない」わけでは絶対にない。じゃあ平成の当たり前だが、昭和生まれにとって「そんなこと考えたことなかった」という事象はないのだろうか?絶対にあるだろう。それをやらないのは不公平極まりない。まあそれをやったら「クイズ!年の差なんて」になるんだけども。

 

その出題された問題も、平成生まれだって普通に答えられる人も多いし、昭和生まれの中にも「そんなこと考えたことなかった」という人間は腐るほどいる。いいや人口の構造からいっても昭和生まれのほうが「考えたこともなかったバカ」は大勢いるんじゃないか。それを「若者はこんなことも知らんのか」という昭和老人マウンティングでもって平成生まれをバカにする。こりゃ若者がテレビ見なくなるわ。気分悪いもん。もう平成元年生まれは30代だぞ。若者でもない。いかに老人に向けてテレビ作られているかが分かる。暗澹たる気分だ。

 

自分にはこの番組のコンセプトが「どうにかして平成生まれをバカということにして、テレビ見ている老人たちに若者を見下させていい気分にさせたい」としか思えないのだ。書いているだけで自分は悲しい。謎の老人接待番組だ。

 

しかし冷静に問う。なぜ「平成生まれ」だからといって考えた事無いで済ましていると言えるのか。昭和生まれは「考えたことない」で済ましはしないのか。無知は「個人」のせいであり「世代」のせいではないだろう。「そうではない」のに意味の分からないカテゴリでもってひとまとめにされる迷惑。なぜ平成生まれが不当なバカ扱いをされなければいけないのか。昭和生まれはそんなに偉いか。こんな番組作ったおそらく昭和生まれは恥ずかしくないのか。

 

申し訳ないが自分は今後テレ朝というテレビ局を「こういう番組を平気で作る局」だと認識させてもらう。もちろんテレ朝には面白い番組や素晴らしい番組を作る人たちもいる。それなのに「テレ朝だから」という理由でそんな風に片づけられたのでは、「そうではない」番組にとってはいい迷惑だろう。しかし「平成生まれ」に対してそういう不当なレッテル張りをやっているんだこの番組は。無知は個人のせいであり、平成生まれのせいではない。性根の腐った自分だけども、見下さずにはいられない。