けっこうに罪深い

ドラマ「ラジエーションハウス」1話を見ました。「面白めのドラマ」ではありますが、全く「面白み」はなかったです。

 

もはや医療ドラマというのは飽和状態であって、あらゆる角度から描かれ尽くされた感がある。それを今度は「放射線技師」「放射線科医」という重箱の隅をつつくような「まだあったか!」感でもってお送りするドラマである。原作は漫画のようだけども、もはや原作がどうこうではなく、自分には「HERO」の夢再びにしか見えませんでした。

 

まず登場人物が多く豪華なんだけど、その全てに「カタにはまった」感がある。それはキャラクターの配置もそうだけども、そのキャラクターを演じる役者も全てカタにはまった感じ。ベタな役割にベタな役者は決して悪いことではないと自分は思っているんだけども、それを凌駕する「これはどうなんだろう」感がある。言い方は悪いが「AIにデータを入力して割り出したらこんな感じ」である。まさか本当にAIに決めさせてるんじゃないか。これがフジ渾身のキャスティングだとするなら、キツい。豪華な分余計キツい。その分広瀬アリスの「あんまりかぶらない役柄」が救い。

 

そして前述したように「HEROの夢再び」にしか見えない構成。しかしどうもこれは「意図されたもの」らしい。公式サイトのプロデューサーのコメントに

今回の演出は「HERO」シリーズを手掛けた鈴木雅之監督なので、チームを爽快に描くのに、まさにピッタリです。

とある。やたらとチームを一緒の画面に収めようとしたり(しかも全員がかぶらないようにキレイに並んでいたり)、画面を切り取って白黒にしたり、音楽が服部隆之だったり、もうそれは殆ど「HERO」でしょうよ。あるいは「王様のレストラン」でしょうよ。「HERO」が見たかったら本物を見ればいいだけで、同じようなものを別のドラマで焼き直されることに、正直「えーと、平成終わるんだよなあ」と思ってしまう。最後に宇多田ヒカル流れるんじゃないかと思ってドキドキしたわ。

 

なもんで、重箱の隅をつついてまで新しい題材を持って来ようとしたにも関わらず、見せられているのは全く新しくないドラマだというこのワクワク感のなさ。これはけっこう罪深いと思うんだけどなあ。もう一度書いておくが、「面白めのドラマ」ではあります。例えば「王様のレストラン」や「HERO」を経ていない10代だったら充分に楽しめるドラマだと思います。しかしそうでなければ、「面白みのないドラマ」でしかないかなあと思う。いやあどうしてこうなった。そんな言葉が口を突く。