受け身の大切さ

ワイドナショー」で松本人志指原莉乃に対して「お得意の体を使って何とかするとか」という発言したことに対し、外野がワーワー言っている。マヌケである。

 

自分もNGTの件で指原が何を語るのかが気になったのでリアルタイムで見ていた。なので松本の当該発言も見ていたし、「ああ、どうせ番組も見てないやつが後からこの発言騒ぐんだろうなあ」とも思っていた。やっぱりそうなっている。

 

この発言を正しく受け止めるためにはポイントが二つある。ひとつは「NGTの問題が割と真剣な話題であり、特に遠巻きながら関係している指原の発言はとても重要視されている」ことに対し、番組が重くならないために松本が仕掛けたキラーパスであったということ。もうひとつは「松本と指原のこの番組の関係性において、松本のこの発言を許容する力が指原にはある」ということ。もうこれに尽きるわけだ。


松本の発言がセクハラの類に当たるのか、といえば「客観的に見れば完全なるセクハラ」だ。放送中も指原がいったん顔をしかめたりしていた。セクハラの屈辱に顔をゆがめる指原、くらいに小島慶子あたりは思ってそうだが、バカ言ってはいけない。指原がこのくらいのパスで傷つく女なわけないだろう。それこそ指原のタレントとしての能力をみくびっている。指原は松本の放ったドロップキックを体全体で思いっきり受け止めることのできる人間だ。下手な人間がやればそれこそただのセクハラ(暴力)だろうが、指原に対してやるならば思いっきりエンタテインメントだろうよ。断言するが、指原はそれがわかってイヤなフリをしている。


その証拠として、指原は事態が香ばしくなってきたことを察し「松本さんが干されますように」という一言で「これは全てプロレスです」と高らかに示すことで収拾を図る。それに受け身が取れる松本は同じく「指原様~☆」と返す。


しかしプロレスが分からない茂木健一郎は指原に対し「自分の気持ちをちゃんと言えて偉い」などと素っ頓狂な反応をする。指原が偉いのは「松本に対して自分の意見が言える」からではなく「松本のプロレスにちゃんと受け身が取れている」ことだろうよ。日本のお笑いは政治風刺ができずにレベルが低いなんて言ってる茂木だが、自分はエンタテインメントの基本の「き」すらわかっていない。悪いこと言わないからもう黙ってろ(命令)。

 

ただまあテレビという誰でも見られる媒体で流れてしまっているからこそ、「客観的に見てセクハラにあたるような発言はどうなんだ」という議論が起こるのはやむを得ないかもしれない。セクハラ発言を受け流すのと許容するのと地続きになっているので、一切その手の発言を許さないことが必要というのもわかる。しかしバラエティ番組において関係性の出来上がった当人同士が戯れでセクハラ発言のプロレスを行うことまで締め付ける必要まであるのかなあ、と自分は思ってしまう。

 

ハラスメントとはつまるところ「関係性の未熟が起こす軋轢」だろう。関係性がしっかりしていれば、それがハラスメントとされることはない。松本と指原はこの二人の関係性において、セクハラが成立するような立場と土壌ではないというだけの話だ。指原は決して「これはセクハラだ」と「言えない」のではなく「言わない」。結構大事なことだと思うんだけど。