嘘も必然

有安杏果、芸能活動再開を宣言。個人事務所を開設し、3月末にはライブを行うことを発表。


有安杏果ももいろクローバーZを脱退すると発表されたのがちょうど1年前(「ロード第一章」の歌詞ではない)のこと。自分はなんとなく「何か発表するんだとしたら(脱退が発表された)正午」と呟いたが、それが現実のものとなった。自分の予言が当たったことを自慢しているのではなく、もし何かを発表するとしたら有安の性格上今日か、誕生日でありtwitterinstagramを開設した3/15のどちらかしかないのだ。だから実質2択を当てたに過ぎない。しかもふたを開けてみれば3月下旬にライブハウスでライブをやることを発表しているわけで、3/15の告知では遅いのだろう。だからこその1/15解禁。


昨年末の有安の「区切りの挨拶」は、こうなることを十分に予感させるものであった。自分も「来年(2019年)は歌うんだろう」という旨を昨年末に書いた。そして面白いくらいわかりやすくこういう運びになった。


ここまでくればもう「なんのための脱退か」を議論する余地はないだろう。「ふつうの生活がしてみたい」という口実で、ソロ活動に移行するためだ。芸能事務所との契約を満了し、個人事務所を立ち上げるために仁義として1年の猶予期間。昨年3月のSNS開設時点でアーティスト写真のような画像がアップされたことから、既に「サポートする大人」が見え隠れしていたのは否定しようがない。この1年SNSに投稿された写真はとても自撮りとは思えず「誰が撮っているんだ」というものばかりだったが、事務所の人間だとすれば合点がいく。あれだけ用意周到な有安がこの1年「何も決めないで過ごす期間」を過ごしていたとは思えず、この1年、「普通の女子が過ごす生活」を隠れ蓑に、いろいろと用意していたことは想像に難くない。


何より3月下旬にそこそこ大きな箱(ももクロ時代に比べれば小さいんだろうけど)のライブハウスでライブを行うこと自体が「用意周到」の証拠だ。自身がこけら落としを行った「EX THEATER ROPPONGI」は、いつ申し込めば3/24の日曜日なんて週末の曜日を押さえることができるのか。半年前か?1年前か?なんにせよ昨日今日決まったことでは絶対にない。なんなら辞めた翌日に押さえてたくらいの印象だ。武道館や横アリの単独公演を成功させている有安であれば、これくらいの箱は余裕も余裕で埋まるとの目算だろう。そこが自分には少し怖いけど。

 

とはいえ、これら全てをひっくるめて有安が歌手活動を再開するというのは、「平成が終わる」のと同じく「近い未来に起こること」であり、何の驚きもない。「ああやっぱりね」という感想だ。

 

それでもやはり自分が引っかかることがあるとすれば、「結果いろいろな嘘を重ねてしまっているように見える」ことかなあ。


辞めるときの「ふつうの生活をしてみたい」は半分嘘で半分は本当。しかし本当に「何も決めないで過ごす期間」は存在していたのかは怪しい。「何か決めていた」からこそ、3/15にSNSが開設され、この時期にライブの発表ができるんだろう。ひいては自分がずっと引っかかり続けた「辞める理由がモノノフ(ももクロファン)に対して嘘をついてることにならないのか」という話に繋がる。それは今となっては世間に跳ね返ってくるわけで「辞めるための口実か」とドライに受け取る人もいるだろうし「結局戻ってくるのかよ」と思う人もいる。

 

最初から「ソロ活動一本で勝負したい」と言えればどれだけ全体像がスッキリしたか。それは事務所との契約上叶わない選択肢だったのかもしれないけども、それが出来ていれば、全てのモノノフと、そしてこれから有安を続けて追いかける有安推したちはもっと強固な一枚岩になれたんじゃないか。そこだけが残念でならない。

 

ももクロ陣営は早々に「仕事じゃないお知らせ」と称してファンクラブでメッセージを更新。

「これからのストーリー お互い頑張ろうね」

と、名指しこそしないものの有安へのエールを送ることで関係が良好であることを暗に示し、そして何より余計な議論に発展しかねない事態の収束を図った。こういう気遣いがモノノフの心を慰める。これが互いに1年前に出来ていれば、だよな。

 

 

 

有安杏果という「アイドル」は「ももいろクローバーZ」の一人として「かけがえのない存在」であり「唯一無二の緑」だった。そんな彼女がソロ活動で自らの表現の幅を広げるのは願ってもいないことであった。しかしそれらを手放した有安杏果という「歌手」はどうだろうか。比較する「色」がなくなったとき、彼女は個性を単独でどこまで強烈に示すことが出来るのか。彼女が思う以上に険しい道だ。でも、もうやるしかないわけですよ。

 

自分が有安の動向でやきもきするのはもう終わり。今度は「ソロ歌手」という肩書を手に入れるために必要だった嘘が「必然」だったことを彼女が圧倒的な実力で示す番だ。そうでしょ?