バズるとはなんぞや

NHK「テンゴちゃん」を見ました。


若者に人気のミュージシャン岡崎体育と3ピースバンドヤバイTシャツ屋さんの4人による、ゆるーい番組。彼らがVTRを見ながらゆるーく感想を述べる生放送だ。以前パイロット版としてファミレスから生中継されていたが、月イチレギュラーが決まったようで、今回はスタジオからCGをバックにお届け。視聴者のtwitterによる反応が番組の背後に浮かんでくるなど、NHKが前々からやっている双方向の放送をふんだんに取り入れた形。


初回のパイロット版はかなりユルかったものの、今回放送されたのは「82歳の被爆体験者森口さんがVチューバ―となって戦争体験を伝える」というもの。まあ放送日が終戦記念日ということもあり、NHKが若者に興味を持ってもらいつつも「こういう変化球な硬派もできまっせ」的なものになっていた。自分からすれば「そういうしゃらくさい感じがNHKっぽくて自分が若者ならとてもイヤですね」ちゅう感じなのだが、実際の若者はどう思ったのだろう。楽しんだのだろうか。


そもそもの話になるが、この手の双方向番組を見るたびに、「本当に双方向番組って盛り上がってるのか?」と毎回思う。この番組中でも「twitterのトレンド1位になった」とか言っていて、画面にはどのくらいの反応があったかが表示されているんだけども、その数は10000を超えるくらいの数だった。まあ深夜番組だし若者向けだし、10000くらいの反応があれば充分に盛り上がっているしバズっていることになるんだろうけども、自分の感覚からすれば「それって視聴率にしたら0.1%にも満たない数じゃないか」と思ってしまうわけで。


まあ単純に見ている数=ネットでリアクションをしている数ではないわけだから、10000を超える数というのは単純に凄いと言えるのかもしれない。しかし逆に考えたら、今やテレビなんてのはケータイ片手に見ているのが当たり前のような若者が、たったの10000そこらの反応しかしていないと考えると、いやあそれは全然少ないんじゃないのかね、とか思ってしまう。


ネットで話題になることを「バズる」といいますが、何をもって「バズっている」と言うのか。定義つう話になると堅苦しいが、単純に「ネットで“ちょっと”話題になっている」くらいで「バズる」っていうんなら、それはもう「局地的に盛り上がっているだけでどうにもなってない」って言い換えていいんじゃないだろうか。


特にテレビ番組が、もっと言えばNHKが用いる「バズる」は相当に怪しいところがあって、「オマエラ誰も追及しないことをいいことに、大してバズってないものでもバズったことにして都合よく用いていやしないか?」と単純に思ったりする。まあNHKの番組「NETBUZZ」を指しているんですけど。


ネットとテレビの融合が叫ばれて久しいけども、いまだに有効な策が見えず、せいぜい「バズったから放送するよ」とNHKが胡散臭いことを言ってるにとどまる。これって本当に最終的にどうにかなるんですかね。個人的には「もうネットの言ってることなんて100%無視する」あたりが一番面白い番組になりそうなんだけどいかがだろうか。あと10年もしたら「ネットの意見なんて所詮ネットの中の個人のしょうもないいち意見」くらいにまで相対評価が下がっているような気はしているんで。マスコミがどの段階でこの考え方にシフトできるかにかかっているだろうけど。


あと若者にとってこれが「面白い」になるんなら、こりゃあもうテレビの未来ってないのかもなあ、とかなり深刻な気分にはなる。なるけど、自分はテレビの未来を担っているわけではないので基本的に危機感はない。テレビの中の人は頑張ってほしい。