SAY YES

「A-studio」と「巷の噺」を毎週録画して見ています。定点観測ですね。


ゲストに興味がある人物だろうが全く興味のない人物だろうが、録画を必ず見る。自分の興味の幅には限界があるので、どうしても見るのは似たような番組ばかりになってしまう。もちろんテレビは自分の好きなものを見ればそれでいいんだけど、思いがけずに面白いものが見れるのは自分の興味の枠外だったりするので、自分の時間が許す限りは興味のいかんに関わらず見るようにしている。


んで上記の二つは笑福亭鶴瓶がホストを務めている番組。鶴瓶がゲストとトークを繰り広げるという意味では殆ど変りがないのだけど、テレ東で深夜の「巷の噺」のほうがよりくだけた感じ。ただ「おすピーを数か月に一度ゲストに呼ぶ」などの初期のアグレッシブさは失われてしまっているので、そこは惜しい。


自分は特に鶴瓶のファンというわけではない。なもんでタモリに「偽善芸の集大成」と言わしめた「A-Studio」のエンドトークに感心することもなく、ただニヤニヤしているだけだ。そして鶴瓶トークを定点観測すればするほど「エピソードトークは数あれど、結局同じようなことしか言ってない」ことに気づくのである。


その中でも自分が割と気になるのが「結婚、いいやろ」である。


ちょっと前まで独身だったタレントに95%の確率で鶴瓶が放つこのセリフ。自分はこれが出るたびに「いただきました」と言っている。配偶者や子供が出来ることで「演技(芸)の幅がぐんと広がる」らしい。まあ人生経験を積むことになるのでそりゃそうだ、とは思うのだけど、言われるほうは一度かもしれないが、毎度毎度結婚したゲストに対してこれを言い放つ鶴瓶を見ているこちらとしては「あんたそれしか言わないな」と思う。普通に思う。たぶんemmaさん(現「A-Studio」アシスタント)もそう思っているだろう。


しかしこの質問、自分はつくづくズルいと思う。結婚したての人間に「結婚っていいもんでしょ?」と聞いて「いやあ…」とは絶対にならない。たとえそう思っていても立場がそう言わせない。だって言ったら絶対に不和が生じるもの。答えが分かりきった質問をして「そやろ」と結ぶのは「結婚っていいよね」のカツアゲだろうよ。


もちろん鶴瓶に他意はなく、単純に「自分は結婚して良かったと思っているから、それをこの度結婚した目の前のゲストとも共有したい」というだけの話なんだろう。しかしそれにしても鶴瓶はやたら「結婚はいい」と強調する。なぜなのか。


ひとつは昨今の「独身で生きる人が多い」ことへの警鐘なのかもしれない。ただでさえ少子化少子化言われているのも、そもそも結婚しない人が多いからだろう。だから結婚することの良さを説き、少しでも結婚率を上げようとする鶴瓶なりのお節介なのかもしれない。まあ本当にお節介ではあるが。もうひとつは実感なのだろう。「家族に乾杯」であっても、やはり結婚している人たちに触れあうことが多く、そのたびに「ああ、やっぱり結婚っていいなあ」と思わされるのかもしれない。


けど自分のような独身ひねくれこじらせ野郎には「鶴瓶は自分に「結婚はいいもんだ」と言い聞かせることで何かの暗示に自らかかろうとしているんじゃないのか」とか思ってしまうわけだ。いや鶴瓶の結婚生活がどんなものかなんて自分は知る由もない。まあ本人が幸せアピールをしているのだから幸せなんだろう。しかし、必要以上に「結婚っていいもんだ」みたいなことを言い続けるその裏には「そうでも言わないと何か保てないものでもあるんじゃねえの」と穿ってしまう。


そりゃまあ自分は独身だし結婚生活のいいところも悪いところもよく分からん身分ではあるのだけども、やたらと結婚の良さを強調する鶴瓶はこれを言うたびにどこか闇の組織から金一封でももらってるんだろうとか勝手に思う。別に不快とまでは言わないけども(無論独身の良さを強調するなんてことは一切なく)、何かしら違和感を覚えるのは否定しようがない。ま、別にいいんですけどね。