NICE IDOL must pure

嗣永桃子がアイドルを、芸能活動を引退。


15年「アイドル」として過ごした嗣永は、最後の最後まで「アイドルであること」を貫き通した、言うまでもなく本物のプロである。去り際も素晴らしい。ファンに向けて

「私はご覧の通りビジュアルもいいし、愛嬌もいいし、それに運まで持ってるから大丈夫です。皆さんの方が幸せになってください。15年間、沢山の愛を本当にどうもありがとうございました」

と、余裕のコメント。自分の幸せと保身のためにファンを地獄に突き落としたどこぞの女とはえらい違いである。


嗣永には「NICE IDOL must pure」という名言がある。まあ本当は嗣永の名言ではなく、嗣永が来ていたパーカーに書かれていた言葉なのだけど、こんなよく分からないパーカーを着せられているという当時の嗣永の状況と併せてとてもいい味を出していたことは、オールドハロプロファンならば知りうるところである。結果この言葉が「アイドルとしての嗣永桃子」の生き様を決定づけたと言っても過言じゃないだろう。


こいつを直訳すれば「素敵なアイドルは純粋でなければならない」とでもなるのだろうか。この場合「pure」をどう訳すかと悩むところである。もちろん「純粋」でも構わないが、「pure」には「(性的に)清純な、貞潔な」という「恋愛禁止」を謳うアイドルには耳が痛い意味もある。勿論嗣永は恋愛関係はノースキャンダルであり、こちらの意味でもなんら問題ではないのだけども、個人的には「道徳的に純潔な」という意味で解釈してみたい。


アイドルだって人間ですから恋愛もするしセックスもします。それは分かってるんです。だから性的な意味で「must pure」はどこかで無理が生じる。無理が生じるからああいうことになる。しかし、ファンに対してあくまで誠実な態度を貫くことで道徳的に「must pure」は達成されるんじゃないだろうか。


嗣永がこの15年間性的な意味で「must pure」だったかどうかは分からない。しかし、少なくとも自分の目から見れば道徳的には「must pure」だったような気がするんだよな。自分が常にどう見られており、ファンに対してどう振る舞うのが誠実なのか、嗣永はちゃんと心得ていた。


嗣永桃子という「NICE IDOL」は芸能界から姿を消すことになる。しかし、ハロプロに限らず全てのアイドルが、嗣永桃子の生き様をアイドルとしてのひとつの道標とし、「ALL IDOL must pure」であり、「ALL IDOL must momochi」となるのがいいんじゃないかと少し思う。何はともあれ、お疲れ様でしたと言いたい。