帰ってこれないよ

キングオブコメディ高橋が窃盗で逮捕。


と字面だけを見れば「ケチな犯罪で捕まったなあ、ちゃんと反省して戻ってこいや」というレベルなのですが、これが「女子高生の制服を20年に渡って盗み続ける」という激深い闇が潜んでいるとなると、もう全然印象が違いすぎる。芸歴よりも窃盗歴が長いので、「芸人が犯罪者」ではなく「犯罪者が芸人」なのだ。とてもじゃないが元の場所に戻ってこれるとは思えない。


芸能人の不祥事としては、これはもう大きさもインパクトも田代まさしのレベルである。性的嗜好による犯罪という意味では完全に比肩する。田代は復帰を試みるも完全に腫物扱いで、そのうちまた盗撮で捕まるという結末。おクスリの裏ドラも乗っかり見るも無惨な状態になったのは言うまでもない。


この手の犯罪を犯した芸人で、復帰の一番の障壁は「素直に笑えない」ことだろう。「そうは言ってもセーラー服盗んでいるじゃねえか」と思われたら最後。いかんともしがたい嫌悪感と戦うことになる。これはもう完全に自業自得だから仕方ないのだけど、結局表舞台から姿を消さざるを得ないわけだ。


また、痴漢で捕まった事件に関しても蒸し返されるのは必定だ。「性犯罪」と一括りにしてしまうのは危険だけども、「性に対して欲望を抑えることが出来ない」という意味では「やっぱりやってたんじゃねえのか」と言われるのは仕方ないことである。この件に関しては本当に「どっちか分からない」んだけども、これも自分が蒔いた種。仕方ない。ただまあこの痴漢事件の時に何かが発覚してしまったほうが、長いこと罪を重ねることもなかったのに、とは思う。


この手の事件で絡めて書くのは気が引けるけども、やっぱりももクロちゃんとの関連性は記しておきたい。高橋は一部のモノノフの間では「神」扱いされていた。ももクロと出会い、そのハマり具合、テレビやネット上で熱弁をふるう姿は多くのファンの共感を呼び、賞賛を得た。ライブに足繁く通う姿は何度も目撃されている。


高橋は全力で歌い、踊る彼女らに魅了された。それは決して「(当時)高校生の年頃の女の子だった」という意味ではなかったと信じたい。あれほどにももクロの魅力を語ることが出来たのは、本当に彼女らの中身に心奪われたからであろう。そうであったなら、いままで制服に執着していた気持ちが、少しでも、いや完全にももクロを純粋に応援する気持ちにだけ向いていればどんなによかったか。残念でならない。


キングオブコメディ」の活動は正直もう難しいと思う。しかし、キングオブコメディが最後に残してくれたものがある。「エンタの神様」において彼らの放送分が差し替えになった部分に、アンタッチャブルのコントが流れたのだ。これを自分は「キングオブコメディとしてはもうダメだけど、アンタッチャブルのほうはもうそろそろいいんじゃないか?」という完全に都合のいい解釈で受け止めた。


というわけで、キンコメの空けた穴は全てアンタッチャブルの「2人」が埋めてくれると信じている。夢も希望もないこの事件で、せめてこのくらいの「願望」を許してほしい。