プレゼンタイガー

今面白いと思うのは「WADAIの王国」です。


残念ながら3月で終わってしまうことは確定しているのですが(ただし後番組の「クレイジージャーニー」はパイロット版も非常に面白かったので、こちらはこちらで期待している番組)、またどこかでふらっと復活してはくれないか、と思っている。


芸能人が話題にしたいことを持ち込む、というていで色々なVTRを放送するのだけども、ここ数回で抜群に面白いVTRを紹介した男がいる。その名はオリエンタルラジオ中田。最近ではラッスンゴレライ完コピで話題になったけども、この番組の中田は今までにない以上に輝いている。


まず2週前に放送されたのが「キングコング西野」。彼がウォルト・ディズニー超えを本気で企んでいることを紹介したVTRだった。これはこれで1本書きたいくらいの衝撃があり(特に「今SEKAI NO OWARIが面白い」と分析していたのは実に興味深かった)、色々と笑わせてもらった。そして先週放送されたのが「はんにゃ」。オネエ化する川島と実に薄っぺらい金田。そして今週は「レッドシアター芸人」として所ジョージばりの悠々自適を実践しようとするフルーツポンチ亘と、キャラが迷走しまくっているしずる池田。


どれもこれも、基本オリラジ中田が「プレゼン」という形でVTRに登場する人物を小馬鹿にしているわけです。紹介したい、と言いながらその生態を小馬鹿にするという構図そのものが笑いを誘うのだけども、ここに中田の計算しつくされた笑いがあった。


まずは「ただ小馬鹿にする」という行為は、それこそどこでも行われていることです。そうならないように気を付けてはいるものの、大きく見れば自分もその範疇に含まれている。上から目線で他人を批判することは実に簡単なことなのです。自分は傷つかないから。けど、それを芸人がテレビで同じことを行うのは、全然意味合いが違ってくる。それは同じ職業の人間、さらに言えば同じ会社の人間を上から目線でバカにする。これは大変なリスクがつきまとうのです。


しかしオリラジ中田は平気でそれをやってのける。これは中田が天狗になっているわけでは全然なくて、むしろ「話題にすることがその人にとって、そして自分ももちろんオイシイ」という共犯関係によって成立しているというもの。そしてこのイジリを可能にしているのは、ひとえに中田の「プレゼン能力の高さ」によるものでしょう。芸人だから話術があって当たり前、と思う人もいるかもしれないが、中田のプレゼンの巧さは「アメトーーク」で見せるケンドーコバヤシ土田晃之の上手さとはまた違った「妙な説得力」があり、ただ小馬鹿にしているわけではない「フリ」をあくまで装う。


中田がプレゼンによって小馬鹿にするからこそ、我々は安心して小馬鹿にすることができる。しかし最終的に得をするのは、このプレゼンによって新たな側面を見せることができた芸人側なのだ。中田が悪人になって紹介された芸人が輝く。それは同僚の芸人に対する愛と言ってもいい。まさに「あっちゃんカッコイイ」というVTRの完成なのだ。


今後も中田は自身のプレゼン能力を生かした仕事をやってほしい。なんならそういう番組を作ってもいいんじゃないかとすら思える。あと数回を残した同番組であるが、中田VTRは放送されるのだろうか。自分は最後まで見守りたい。


あと、最後にしっかり書いておきたいが、中田がVTRの人たちを小馬鹿にしているのは愛であると同時に「本心」だろう。だから、最終的に面白い。