ざわ…

カイジ 人生逆転ゲーム
テレビで放送されたので見ました。原作はすべて読んでおり映画化されたときもけっこう気になってはいたけども結局見れずじまいだったので割と楽しみにしていた。


結論を言えば「よくできている」だろう。原作を見たことがない人にはそのスピーディーな展開に目が離せないわけでそのまま楽しいと思うのだが、どっぷりの原作ファンからすればどれもこれも濃厚なエピソードがこれでもかと言わんばかりにどんどん消化していくその「詰め込んだ」感に戸惑いを覚えながらも、エピソードの繋ぎの上手さに感心をせずにはいられない。大抵の場合、原作を全然読み込まず「なんだこれ」というような改変がなされるもんだが、この映画に関しては何度も脚本を練り直し客を飽きさせない工夫がしてある。脚本担当はかなり苦労したんじゃないだろうか。もちろん変な部分はあるんだけど、さほど気にならない。


だから基本的には及第点を与えられる出来ではあるんだけども、やっぱりもったいない部分がある。それはやはり「利根川の言葉が軽い」ことだろう。


利根川といえばカイジ屈指の名キャラであり、数多くの至言を残してきた人物。映画では香川照之が演じている。香川の利根川は悪くはない。ただ、映画の展開が速いせいもあってか、利根川の至言たちがことごとく軽いのが気になる。たとえば「金は命より重い」なんてセリフはこの演説だけ10分は軽くいけそうな重みを持ったシーンなのだが、それがなかなかどうしてあっさり終わる。実に物足りない。


あとはやっぱり「ざわ…」の使い方が違うような気がするんだけど、あれは完全にわざとだろうし、原作ファンに対するオマケだろうなー。