水戸黄門のように

愛の貧乏脱出大作戦
約10年ぶりに特番で復活。経営難の飲食店が有名店であるところの師匠のもとへ弟子入りし、その店のメニューを伝授してもらう。そんでもって心機一転オープンすることで新たな門出をするという流れの番組でした。今回の特番はあれからそれらの店はどうなったのかを司会だったみのもんたが抜き打ちでチェックに行くというもの。


これを見ていたころは高校生くらいだったと思うが、今考えれば高校生が真剣に見るような番組でもなかったにも関わらずけっこう真剣に見ていた気がする。あの頃から既に嗜好がオッサンだったのだろう。


なぜそんなことを言うのかといえば、この番組ほど「起承転結」がはっきりしている番組もなかったからだ。その週の依頼人が出てくるのが「起」、達人の元で修業を始めるもそのダメさが露呈するのが「承」、何か修業を中断するような事件が勃発し、達人にダメを食らうも挫折を乗り越え修業を再開するのが「転」、そして修業が終わりリニューアルオープンで店が繁盛する様子が「結」である。フォーマットでいけばさながら水戸黄門なのだ。


もちろん毎度毎度こんなに上手くいくわけもなく、随所随所に「演出」くさい部分が見受けられはしたが、その部分を含めてまで見ていて面白かった。「そんなミスしねえだろ」とか突っ込みを入れつつも楽しんでいた感じ。当時から視聴態度が変わってないのが自分でもちょっとイヤだ。


ただ、そんなことは言いつつも、けっこう本気でのめりこんでしまう部分もあるからいいのだ。今回SPで放送された若者と中年のラーメン修行の友情なんてのは、過分に演出めいたものがあったのだろうが、それでもぐっとくるわけで。きっとそういう部分にのめりこんでいたんじゃないかとあの頃の自分をフォローしておく。


どうも自分はそういう「演出の中に垣間見えるテレビのホンイキ」ってのが好きなようだ。演出部分では笑いつつも、そうでない部分に何かがあるからこそぐっと来るというか。自分が愛してやまなかった「TVのチカラ」あたりもこの部類に入る。


全然見るつもりはなかったんだけども、最終的には3時間ぶっ通しで全部見てしまった。紹介されたのは今でも繁盛を続ける店ではあるが、もちろんそんなものはごく一握り。復活のきっかけを掴ませたのは番組だが、今まで成功が続いているのは紛れもなくその店の主人の努力の賜物。完全なる部外者ではあるがしみじみ感動してしまう。テレチカが殺人犯捕まえたときと同じような感慨があります。


ちなみに余談ではあるけども、うちの近所にも実はこの番組に出演して復活を遂げた店があったのだが、数年後に程無くつぶれてしまった。そんなもんである。だからこそ残った店は素晴らしいし、店が残ってなくても幸せそうにしていた家族があるのはいいことだと思う。


もちろんこんな普通の感想を書きたかったわけではなく、本当に書きたかったのはみのもんたがこの10年でさらに儲かっていたという事実が過去のVTRから明らかになるのが一番のオチなんじゃないかと。番組当初からあった「じゃあおまえが救ってやれよみのもんた」は10年寝かせたことによってさらに芳醇な味わいを醸していた。この深みを田崎信也に表現してもらいたいです。嘘だけど。