松原仁

・JIN〜仁〜
大沢たかお主演のドラマ。村上もとかのマンガが原作。


マンガ原作のSF作品なのでストーリーに関してある種の荒唐無稽さがあるのは別に構わないのだが、個人的に肩透かしを食ったのは「もっと分かりやすく泣かせてくるんだろうなあ」と思っていたら、案外そうではなかったこと。さすが日曜劇場とでも言うべきなのだろうか、割と控えめな演出だったような気がする。前作「官僚たちの夏」が無駄に濃かったのでバランスとしては丁度いいのかもしれない。


それというのも、自分は全く賛同しかねる「初回2時間」のせいもあるのだろう。2時間で山場をどこに持ってくるかというのは重要で、1時間で一山作ってしまっては、あとの1時間がしんどく、かといって2時間ギリギリで大きな山場を持ってくるのも退屈してしまう(2時間ドラマのフォーマットが連ドラの初回として適しているわけではない)。だからこその「控えめな山場」を1時間ごとに2本作ったのは作りとして無難。


そもそも主演が大沢たかおであるから、それほど濃い演技をするわけでなく、あのくらいの温度の描き方が正解なんだろう。綾瀬はるか中谷美紀は何をしなくても美しいわけで、ドラマとしてはそれでなんとなくイケてしまうという便利さはある。一方で内野聖陽演ずる坂本竜馬のドロ臭い濃い演技を披露しているのがご愛嬌。


取り立てて「これは凄い!」という点があったドラマでもないし、キャストに派手さも話題性もないが、最後まで見続けることのできるドラマってのは得てしてこういうドラマだったりします。大沢演じる南方仁が江戸で施術することで未来にどんな変化が起こるのか、という伏線を張りつつストーリーが進行するのも興味深い。とりあえず継続視聴であります。