TENGAは伏字なのか

「ゴッドタン」にて、大声クイズなる企画が放送されていました。


「クイズ」と銘打っているものの、クイズが正解かどうかは問題ではなく、司会のインパルス堤下にいかに大声を出させるかを競うというもの。つまりは堤下に大声でツッコミを出させるような振る舞いをするというだけのものであり、趣旨からいけば「やりすぎコージー」のツッコミ7にやや近い印象を受ける。


クイズのひとつとして「何を作っているのでしょうか」という、もはや「クイズ世界はSHOW by ショーバイ」のパクリであることを1ミリも隠さない感じで工場である製品を作る過程のVTRが流れたわけです。ここで当然に堤下に大声を出させるために解答者であるレギュラー出演者は次々とボケていく。そこで堤下の相方である板倉がボケて出した答えが「TENGA」であった。


一応説明しておくと、「TENGA」はソフトオンデマンドが開発に携わったオナホールのことである。*1見かけ、特にパッケージがアダルトグッズそのものであった従来のオナホールとは一線を画し、一見しただけではオナホールと分からない斬新なデザインで「グッドデザイン賞」を危うく受賞しかけたことでもお馴染み。いまや兄弟分の「TENGA EGG」も発売され、その勢いは留まることを知らない。


芸能界でもTBSラジオ「JUNK」界隈を中心にクチコミで大ブレイク。またケンドーコバヤシがテレビでTENGA使用者であることを口にすることを憚らず、いち商品としては抜群の知名度を誇っている。


でまあ、放送内では「TENGA」という名称が深夜とはいえ地上波でガンガン飛び交ったわけですが、同時にテロップも流れるわけです。そのテロップには「テ○ガ」と、ご丁寧に一部伏字が使われていたわけです。音声ではなんの加工もないんですけども。


一応商品名ですから、スポンサーに関わりのある他社の商品の宣伝になる場合には伏字や編集がなされますけども、「ゴッドタン」の枠にTENGAと競合するような会社がスポンサーに入っている記憶はありません。ていうかあの枠に特定スポンサーが入っている記憶がない。となれば、考えられるのは単純に「自主規制」つう話です。


ただ、自主規制とはいうものの音声上では普通に放送していますし、さらに言えば自主規制するくらいなら「TENGA」という単語をテロップで出す必要はないのです。にも関わらずテロップでの「テ○ガ」扱いは、どうにも腑に落ちない。


これがもし「オナホール」という名称を連呼していたならば、「オ○ホール」あたりの扱いで伏字やむなしかな、とも思う。しかし重要なのは「TENGA」という名称は「オナホール」という一般名詞ではなく商品名だということで、名称そのものは決していやらしいものでもなんでもない。


いやもちろん商品名が一般名詞そのものになる例はある。今でこそ「ウォークマン」なんてのは携帯音楽プレイヤーのひとつに過ぎないが、カセットテープの時代にソニーウォークマンを発売したときは、「ウォークマン」という言葉が携帯カセットテープ再生機のことをずばり指していた。


だから「TENGA」という言葉を伏字扱いにするということは、「TENGA」=「オナホール」であるという認識が高いとのもとでの処置なのだろうが、自分にはやっぱり不思議でならない。感覚的には「フェラチオ」を「尺八」と言い換えているのと同じで、「フェラチオ」は伏字やむなしでも「尺八」を伏字にはしないでしょ?


結局のところ、作り手としては「TENGA」という回答から答えが広がっていったので編集として切るわけにもいかず、かといってテロップで発言を出さないのも不自然で、苦肉の策として「テ○ガ」なんて表現をしたんじゃないかと勝手に推測してみる。


個人的には「TENGA」という名称そのものはいやらしいものではない。例えば「うんこ」「ちんこ」の類の、下ネタとなる対象物の表現そのものではないからだ。それともTENGA側としては「TENGA」=「オナホールの代表」という扱いになったことで誇らしく感じているのだろうか。難しい問題ではある。もっとも自分以外の誰もマジメに考えない場合は難しかろうが簡単であろうが関係はないのだけども。

*1:堤下はツッコミの際に「オナニーボックス」という表現をしていましたが、あんまり聞かない表現だと思う。もしかしたら地上波の放送ということで表現に配慮したのかもしれない