田村淳は島田紳助になるのか

人物

「久米宏のテレビってやつは！？」をロンブー田村淳が出るというので初めて録画して見てみました。


昨年から始まった久米宏の番組ではあるけども、裏が「レッドカーペット」ということもあり数字的にはかなり苦しい。また22時台に放送するということは、かつての久米の看板番組「ニュースステーション」、現「報道ステーション」の裏での放送ということにもなる。ちなみに視聴率は「報道ステーション」にも惨敗である。


「ニュースステーション」を終えたあとに、久米がテレビの復帰番組として選んだ日テレ「Ａ」が面白いくらいにコケてしまい、それ以来久米はテレビから一線を退いた形になっていた。いまもラジオが主戦場である。そんな久米が新たにはじめたこの「テレビってやつは！？」であるが、やはり評価も視聴率も芳しくない。


そんな久米情報が本題ではなく、今回その久米の番組にロンブー淳が出た。久米宏×ロンブー淳という組み合わせに単純に興味があったし、しかもその中身が「政治」とくればこれはもう何か臭う。見ないという選択肢はない。


全然知らなかったのだが、現在淳はラジオのレギュラーで政治家を呼んで話を聞く番組をやっているらしい。しかも結構好評とのこと。「絶対に相手が聞かれてイヤなことを聞かない」というポリシーだそうだ。久米をはじめとして政治家に対してのインタビューもしくは対談であれば、どうしても相手の痛いところを突こうとしてしまいそうなもんだが、「そんなことをしたら番組の評判が悪くなり、次の政治家の人が来てくれなくなる」という理由でもって、そういうことはしないらしい。いかにもバラエティで慣らした淳らしい発想だと思う。


ラジオも含めて、今ロンブー淳は非常に政治に興味があるようだ。小学生の頃は総理大臣を目指していたというエピソードもあるように、今に始まったことではなく元々そっちのほうに興味があったのだろう。芸人としての地位も固まったところで、ようやく自分のやりたいところに食指を動かしたということなのかもしれない。


というわけで、番組では世の中の報道に対する疑問に久米ら番組出演者が答えるという形で進行。久米の軽妙な進行もあって、そこそこ面白いものに仕上がっていた。最後には池上彰によるニュース解説もあり、柔らかな報道バラエティといったところか。番組中で淳は「世の中の人がニュースに本当の意味でもっと興味を持つようになるには、もっと分かりやすく噛み砕いた説明が必要なのではないか」という発言をしていたのが印象的だった。


ま、番組自体は３月で終わってしまうのであれこれ語ることもない。どうやら４月からも久米司会の番組のようなので特に影響もない。それよりも自分は「田村淳の島田紳助化」のほうに興味がある。


島田紳助といえば好き嫌いはあれど現在のバラエティ界における大物司会者であることは否定のしようがない。紳助は元々漫才の人間であり、コンビを解消してから「司会者になる」という目標を掲げ、あれこれ司会の下積み（というか、色々な番組の司会）をこなすことで今の地位まで上り詰めた。どうも自分はロンブー淳も紳助と同じ道を辿ろうとしているのではないかという気がするのだ。


紳助も今までそのような動きを見せたことはないけども、冗談で大阪府知事に立候補すると口にしたり、テレ朝「サンデープロジェクト」の司会だったことがあるなど、政治にも詳しいところを見せている。その端緒となったというべき番組が、かつて放送されていた「紳助のサルでもわかるニュース」だろう。


毎回芸能人が即席の「講師」となり、同じく芸能人である生徒に「サルでもわかる」ような分かりやすい授業を行い、番組の最後にテストをするというもの。生徒だった紳助のほかにも、学歴はないながらも勘の良さと頭のよさを見せ付けた飯島愛、この頃はまだ「政治に興味がある」のを匂わせるだけだったそのまんま東（現東国原宮崎県知事）がいたりと、番組内容のほかにも今思えば見所のある番組だった。


今ロンブー淳が目指している「分かりやすい政治解説」ってこの「サルニュース」のようなことを言ってるような気がする。というか、淳本人がこういう番組をやりたいのではないかと。そして結構本気でうまくやる自信があるんじゃないのだろうか、と今回の放送を見ながら思ってしまった。


けど、「分かりやすいニュース解説」って番組中で登場した池上彰が基礎を築いた「週刊こどもニュース」以上のものが登場するとは思えない。番組中でも触れられていたけど「ニュースステーション」でも同じようなことをやっていたし、淳が思っている以上に今の報道番組はニュースを噛み砕く術に長けている。特に「こどもニュース」の分かりやすさは、大人が見ても充分にためになるほどだ。


しかも「サルニュース」と同じことを、それこそ「深イイ話」の前番組である紳助司会「今夜はシャンパリーノ」において復活させたことがあったが、その時は番組の視聴率も低かったことが災いしたこともあって、全く話題になることなく葬られた。今もしまた淳が同じようなことを考えているならば、相当な工夫が必要なように思える。ま、話を勝手に広げてみたものの、あくまで自分が番組の淳を見て感じただけの話であり、実際にどの程度本気なのかは分からないのだが。


ただ、政治番組をやるやらないに関わらず、今ロンブー淳の動向は完全に島田紳助の辿った道を沿っているような感じはする。司会をこなす芸人は複数存在するが、島田紳助の後釜に収まるのは、他の中堅〜大御所を抑えてロンブー淳になるのかな、とちょっと思ってしまった。とりあえず淳がすんなり報道畑の番組に顔を出すようになったら展望としては面白いんじゃなかろうか。