うちのribbonがね

・福家警部補の挨拶〜オッカムの剃刀
永作博美主演のドラマ。原作は同名タイトルの大倉崇裕の小説。てっきりオリジナルのドラマなのかと思ってミシュランに「続編を作ることを見越したタイトル」なんて書いてしまったが、そもそもの書籍タイトルがこの名前なのであんまり関係なかった。但し小説のほうは今作「オッカムの剃刀」を含めた数編の話から成る一冊なので、続編の可能性はおおいにあると思う。


ドラマの中身はバリバリ倒叙モノのミステリ。「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」のようなドラマと思っていただければ間違いない。そもそも原作者の大倉氏が「コロンボ」のフリークらしくコロンボのノベライズを手掛けたことのある人物。同じようなものを目指して書いたとのことなのでテイストが似ているのは必然とも言える。


というわけで簡単に言えば「永作版コロンボ」と言ったところだろうか。別に「永作版古畑」でもいいんだけど。まあトリックがしっかりしている分「古畑」よりは「コロンボ」っぽいのかもしれない。犯人役だった草刈正雄は古畑でも犯人やってるという点では古畑なのかも。つまりはどっちでもいい。


コロンボしかり古畑しかり倒叙モノの探偵は曲者が多いけども、このドラマの主人公である福家警部補もなかなかの曲者。永作博美が多少とぼけたところがありながらも上手く演じていた印象。無駄爽やかの小泉孝太郎を従えて(今「無駄爽やか」の下っ端が似合う俳優は小泉孝太郎平岡祐太がトップを争っている)黒縁眼鏡がいかにもな感じでマル。本当に永作博美が嫌いな男はいないんじゃないかと思わせる完璧さです。


タイトルにある「オッカムの剃刀」とは14世紀の哲学者オッカムが多用した

「ある事柄を説明するためには、必要以上に多くの実体を仮定するべきでない」(wikipediaより)

という指針であり、これに対してアインシュタイン

「理論はできるだけ単純にせよ、だが限度というものはある」(wikipediaより)

と批判した。この流れを汲んだやり取りが福家警部補と犯人草刈正雄によってなされる知的な感じがなんともコロンボっぽいというか古畑っぽいというか。オマージュとしては完璧なのではないだろうか。ま、自分はコロンボのことはあまり詳しく知らんのだけど。


90分という尺でかなり満足のいく出来だったと思う。永作博美の絶妙な魅力を放った主演ドラマということもそうだが、良質な倒叙モノのミステリという点でも続編を期待したい。