チェンジでお願いします

ドラマ「CHANGE」見ました。さほど有効な感想が出てきません。


「キムタクは何をやってもキムタク」の法則は健在であり、いくら髪の毛を大泉洋チックにしようが選挙の候補者になろうが、いい意味でも悪い意味でもキムタクでしかなく、それ以上どうこう感想を述べる余地がありません。キムタクのスケールをキムタクがはみ出ることはない。ただ、キムタク本人の役者としてのスケールの大きさが中途半端なので、役によっては「キムタクここにあり」にもなるし「キムタクでしかない」にもなる。まだ始まったばかりでは判断するのは早計かもしれないけど、「華麗なる一族」の重厚さに比したキムタクの位置を考えれば、政治家ひいては総理大臣になる今回の役は後者なんじゃないかと思わせる。


深津絵里阿部寛はさすがとしか言いようがなく、序盤は深津絵里が中心となってドラマが進展し、なんなら深津メインで話が進んでいったほうが面白いんじゃないかとすら思わせた。キムタクがメインになってからドラマのテンポがダレた気がする。これは脚本のせいだろう。深津目線のほうが面白いと感じたのは、秘書が主役といえば石橋貴明が主演した日テレのドラマ「レッツゴー!永田町」を思い出させ、あのドラマが割と面白かった(数字は奮わなかった)という記憶が自分の中にあるからかもしれない。


ドラマの中身を見て思い出したのは長崎の市長選。前市長が銃撃されて亡くなったあとに、市長の娘婿が弔い合戦で立候補したものの僅差で現市長に敗れた。あの時も僅差で現市長が勝ったわけだが、今回の結末はそれとは逆。顔のよさをアピールして勝った(と考えるのが妥当。スキャンダルを認めた潔さが認められたみたいな描き方をしていたが、あれは強引すぎる)、弔い合戦だから勝った、という都合のいい話に。現にそういう選挙も未だに多いのだろうけど、長崎市民が「弔い合戦というだけで票は投じない」というドラマよりも立派な前例を見せているだけに、どうにも白々しい印象はある。


あとは女医で登場した堀内敬子の出番をもっと増やせだとか車だん吉田窪一世の講演会のオッサンどもが最高だな、とか細かい感想はあるんですが、さほど気の利いた感想が出てこないわけで。あ、90分もやる必要は全くなかったとは書いておくべきか。せいぜい70分で充分の内容。


視聴率の話をしますと初回は23.8%で「ごくせん」の初回視聴率26.4%を下回る結果となった。ドラマの出来としては「ごくせん」が水戸黄門のようなベタ至上主義であることを鑑みても26.4%は取りすぎだと思うし(あの内容なら適性視聴率は15%くらいなもんだと思う)、かといって「CHANGE」も数字に見合った面白さを提供していたかといえばこれまた違う。初回の数字に差は出たが、ドラマの面白さとしてはどっこいのような気がします。


これで4月クールのドラマは全て出揃ったことに。自分が見ている中では「ラスト・フレンズ」がまだ見れるくらいで、あとは低調な印象。視聴率として健闘している「絶対彼氏」や「Around40」は見ていないので何とも言えませんが、これらの出来はいいのかもしれません。期待していた「ハチワンダイバー」は第2回も将棋そのものの凄さや面白さが全く表現されておらずげんなり。


「CHANGE」の裏では本物の政治を扱ったバラエティ「TVタックル」が放送されている。さすがに「TVタックル」に負けるまで数字が落ち込むことはないと思うが、「TVタックル」より面白い政治を扱ったドラマになるかどうかは、初回を見る限りではちと厳しいんじゃないかなあという感じ。「TVタックル」にチャンネルをチェンジされないことを関係者は祈るばかりでしょう。大して上手くもないことが言いたい年頃。